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第27回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)中国四国地方会
会長挨拶
第27回 日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)
中国四国地方会 会長 上村 史朗
川崎医科大学 循環器内科学 教授
 第27回日本心血管インターベンション治療学会中国四国地方会を開催させていただくにあたりご挨拶を申し上げます。
 新型コロナの影響によって開催を1年延期した本地方会ですが、最終的に完全Web開催とさせていただきました。皆様と直接お目にかかって情報交換、ディスカッションすることがかなわず大変残念に感じています。一方、この1年半の間に皆さんもWeb開催にも良い点が多くあることにもお気づきと思います。本大会でもこれらの利点を最大限に利用して実り多い地方会にしたいと考えています。
 PCIが始まって既に40年以上が経過し、冠動脈分野におけるInterventional Cardiologyは成熟期に入っていると言われます。実際、CTOや高度石灰化・分岐部病変などに治療困難な症例は残されているものの、技術やデバイスの改良に伴ってPCIは比較的安全に行える日常診療的な手技となりました。一方、PCIが導入された後のこの40年の間に日本の医療を取り巻く環境は大きく変化してきています。特に、人口の高齢化と限られた社会資源です。すでに超高齢社会に入った日本では、多臓器障害を合併、Frail、Sarcopenia、認知症など全身的な機能低下を伴った高齢患者が増加し、一面的でなく包括的な医療を如何に効率的に行うかが重要になってきました。この傾向は特に心血管患者で著明で、増加する心不全、器質的心疾患患者に対するInterventional Cardiologyとしての新しいアプローチが始まり、さらに「循環器診療の適正化」に関する議論も進んできています。今後の30年、次のStepでは、このような複雑さを増す時代と患者に対応するために、今まで築いてきた我々のInterventional Cardiologyの知識、技術にさらに磨きをかけ新しいアプローチを追求することに加えて、他領域の知識やノウハウを吸収して進んでいくことが求められると思います。さらに、Interventional Cardiologyに参加する医療スタッフの体制作りとチームワーク、次世代を担う人材の育成、医療経済観念の共有などが今後の重要な課題になると思います。
 今回のテーマは「What’s the Next Step?」ですが、このテーマを考えたときにはまだ新型コロナは世にありませんでした。成熟期に入ったインターベンション治療の次のステップという観点で考えたテーマですが、今となってはポストコロナの時代のインターベンション治療をしっかり考えていくことも大きなテーマになりました。それぞれの発表におきましては、「それではこの発表を受けて次のStepは?」という観点で、演者、座長の皆様にはディスカッションを盛り立てていただきたいと思います。
 今回の地方会では、延期の影響もあって非常に多くの演題のご応募をいただき感謝しています。Web上ではありますが、学会員、医療スタッフ、若手医師、学生の皆様を含めて多数の皆様に参加いただき、成熟期のインターベンション、ポストコロナのインターベンションについてより深く考えたいと思います。今回の学会が中国・四国地区におけるInterventional Cardiologyのさらなる発展と地域医療への貢献に寄与できることを祈念しています。