ご挨拶
会 長 藤本  亘
(川崎医科大学 皮膚科学教室 教授)

 このたび第62回日本皮膚科学会西部支部学術大会を担当させていただくこととなり大変光栄に存じております。
 学会は2010年10月23日(土)、24日(日)の2日間、倉敷市の芸文館、倉敷市立美術館において開催いたします。倉敷市での本学会は、川崎医科大学の野原 望初代教授のもとで1975年に第27回大会が、植木宏明教授のもとで1983年に第35回大会が開催されています。従って今回は27年ぶり3回目の倉敷市での開催となります。
 学会のテーマは”Art of Dermatology”としています。周知のようにHippocratesの言葉のラテン語訳である”Ars longa vita brevis”とは「医術を修めるには長い時間がかかるのでのんびりしてはいられない」という趣旨の警句です。皮膚科の診療に限っても同じことが言えるでしょう。基礎から臨床まで全領域にわたって皮膚科学の”Art(技:わざ)”を理解し、これを駆使できるようになるには日々のたゆまぬ努力が必要です。皮膚科学はまた歴史的に形態学から発達してきたことを特徴とします。皮疹のひとつひとつは神の手による”Art (芸術)”とみなすことができ、その精妙な成立機序を探求し、治療につなげることが皮膚科学にほかなりません。
 特別講演としてSt. John's Institute of DermatologyのFrank O. Nestle教授に”乾癬の病態と生物学的製剤による治療”について、また国際交流特別講演としてインドGrant Medical College & Sir JJ Group of Hospitals のChetan Oberai 名誉教授に”インドにおける皮膚疾患について”、 それぞれご講演をお願いしています。また教育講演として木沢記念病院 北島康雄先生に「皮疹と病理組織の新しい動的診かた:論理的皮疹学」を、Marburg大学Ruediger Eming先生に”B cell directed therapy”について、ご講演いただく予定です。さらに招請講演として東北大学大学院環境科学研究科の石田秀輝教授から「地球環境を考えるため」のヒントをご講演いただきます。そのほかに3つのシンポジウムといくつかのrefreshing seminarを企画しています。
 学会場は江戸時代から続く街並みが保存された倉敷川畔(倉敷美観地区)、倉敷紡績工場跡地に造られた「アイビースクエア」に隣接しています。学会の合間に倉敷川畔と路地を散策されたら懐かしい“Folk art (民芸)”に触れることができ、さらに時間に余裕のある方は「大原美術館」の”Art(美術)”に浸ることもできるでしょう。
 秋の週末、共に学び、楽しめる学会にしたいと願っています。多くの先生方に演題をお寄せいただき学会にご参加いただきますよう宜しくお願いいたします。