第2回日本フットケア・足病医学会中国四国地方会学術集会
ごあいさつ
第2回日本フットケア・足病医学会 中国四国地方会学術集会
会長 公文義雄

社会医療法人近森会近森病院 糖尿病・内分泌代謝内科部長
「足を守るチーム創り」
 この度、第2回日本フットケア・足病医学会中国四国地方会学術集会を、高知市の当院近森病院管理棟で開催させて頂く運びとなりました。大変光栄であり、開催に向けご尽力頂きました先生方には感謝申し上げます。本学会は日本下肢救済・足病学会と日本フットケア学会が2019年7月に統合され、第一回の中国四国地方会学術集会は鳥取倉吉(浜崎尚文会長)で盛会裏に収められ、第二回は日本海から太平洋を望む高知にバトンを頂きました。しかし、2020年初めから日本も巻き込まれたCOVID-19パンデミックにより生活様式の在り方が大きく変わりました。本学術集会は当初から2020年9月5日(土)に従来型の現地開催として鋭意準備しておりましたが、最終的には開催困難との判断から茂木代表及び役員の先生方のご指導を賜り、10月31日(土)に変更してWEBにて開催をさせて頂く運びとなりました。
 開催方法の変更により、演者、座長、会員の皆様、セミナー参加の皆様、また、協賛を賜りました企業の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解を賜り、ご協力下さいますよう、よろしくお願い申しあげます。
 高知は秋田に次ぐ第二の高齢者県(高齢化率32.2%)であり、中国四国地方は高齢者医療でも同様の問題を抱えております。高齢者のサクセスフルエイジングには四肢の身体機能を良好に保つことが必須であり、「足の健康」はそのキーワードであります。この足の健康の診療を担うのがまさに本学会でありますが、PAD、特に重症下肢虚血を中心とした実臨床の現場は臓器別の各科から参加される卓越した技術をお持ちの先生方と志を持つ各種コメディカルのご努力により支えられている現状がございます。
 なぜ本邦では足病医学の概念が育ってこなかったのか、和辻哲郎の「風土」流に考えてみました。日本はモンスーン型で湿度は高く素足と畳の文化であり、牧場型であるヨーロッパの靴と石の文化とは対比的に見えてまいります。医学、歯学に加えて古くから足病医学のある欧米の必然性を私は個人的にこのように解釈しておりました。この領域に従事する医師は血管外科、形成外科、整形外科、皮膚科などの外科から、内科も糖尿病内科、循環器内科、腎臓内科、人工透析内科と広くから構成されております。臓器医学の専門化に伴い医療技術も進化しておりますが、当該領域では統合は必ずしも十分ではありません。今後は足を臓器として捉え、専門の医師と多職種コメディカルが行う集学的な医療の要求に応えなければなりません。そこで本学術集会では「足を守るチーム創り」をテーマに掲げさせて頂きました。
 本学術集会では、日本フットケア・足病医学会理事長寺師浩人先生の教育講演、渥美義仁先生の糖尿病専門医から特別講演、森下竜一先生にはランチョンセミナーでHGFをターゲットとした遺伝子治療の現状、末廣 正先生には足病の基盤となる透析患者を作らないための糖尿病腎症予防についてご講演頂きます。また、応募頂きました一般演題の討論に加え、チームの主軸である看護師の育成・チーム創りについて、特定行為研修を切り口に現状をシンポジウム形式でまとめてみたく思っております。さらに、今回の新たな試みとして、爪のケアと靴の選び方のセミナーを土佐足研究会に実施して頂くことにしております。なお、プログラムや参加方法などにつきましては、皆様のご不便にならないよう、学会ホームページを逐次更新してまいりますので、ご確認下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
 最後に、私をこの学会にお導き下さいました諸先生に感謝申し上げます。本学術集会にご参加下さいます足診療の専門の先生方、足の健康に興味のお持ちの先生方、足の健康に関わる全ての職種の皆様方には本集会の情報が新しく興味深いものであり、実践的であるようお祈り申し上げます。
 皆様方のますますのご健勝をお祈り申しあげますとともに、新型コロナウイルス感染症の被害が少なく、早期に収束しますことをこころよりお祈りもうしあげ、ご挨拶に替えさせて頂きます。