がんと出会って二つ目のいのちを生きるときに、背中
を押してくれる心強いお供をたくさん用意すると元気に
なれます。その一つが「笑い」です。
笑いが体にいい、免疫力が高まってとりわけがんや糖
尿病に効く、それが遺伝子のレベルでわかってきたんで
す、と科学も後押しをしてくれます。そして笑いをがん
の治療に取り入れる病院が増えてきました。そして、私
たち誰もが思いっ切り泣いたり笑ったりすれば気持ちが
スッキリすることを本能的に知っています。忙しい毎日の
中で忘れているだけです。だから思い出せばいいのです。
私は一年に一度、東京・深川でがんの仲間とその家族
だけを招待して落語の独演会を開きます。呼び物は自作
「いのちの落語−病院日記」。これを聞きに仲間たちが全
国から駆けつけます。この落語は、がんを乗り越えてき
たそのつらい闘病生活を、心からの明るい笑いに変えて
伝えていきます。
『・・・抗がん剤の副作用に髪の毛が抜ける、という
のがあります。あれ、イヤなもンですよ、私も抜けまし
た。けど病院はそんなことは心配していません。なぜか
というと、また生えてきますからね。あっ、言っときま
すがね、また生えてくるのは治療の前に毛があった人だ
けですよ!』
―あのつらい経験を笑いに変えてくれるこの落語は、
何度聞いても笑ってしまいます−と、いつまでもリクエ
ストの多い小噺(こばなし)です。
「薬は体に効きますが、笑いは心に効くんです」
心の奥まで届いた笑いは、いつまでも残っていて、つ
らくて一歩も前に進めなくなったときにあなたの背中を
押してくれます。そして、あなたの笑顔が回りの人たち
を元気にします。元気になった回りの笑顔があなたに
戻ってくるのです。このときが「生きてて良かった」と思
える瞬間です。
だから、「笑いは最高の抗がん剤」なのです。
今日の「いのちの落語」で、たくさんの笑いの中から希
望と勇気をお持ち帰りください。そして、「笑いは最高
の抗がん剤」、「生きてるだけで金メダル」を体感してく
ださい。