教育講演2
クリニカルパスとPOS
小倉第一病院 副院長
隈本 博幸(くまもと ひろゆき)
クリニカルパスとは、ある病気の検査や治療に対して、標準化された患者のスケジュールを横軸に入院からの時間、縦軸に検査や治療等が書かれ表にまとめたもので、1つの検査や治療ごとに1つずつ作られています。クリニカルパスには、医療者用と患者用の2つ準備されており、患者用クリニカルパスには、入院してからの検査・治療・処置や食事・安静度・清潔、さらに退院後の説明等が日ごとに詳しく説明されています。これらは具体的には、医療の標準化を意味しています。病気に対する検査、治療、処置、ケアを一定の質を保ちながら行うことです。クリニカルパスを使用することにより、無駄な検査、投薬、処置、ケアを減らすことも可能です。また、情報を共有化し、チーム医療を実現します。クリニカルパスは医師、看護師、薬剤師、検査技師、栄養士その他の職種にて作成されています。そのため、出来上がったクリニカルパスは、各専門職種からの意見を元に作成されるのが大切です。これは、患者・家族への説明用紙として、クリニカルパスを渡すことにより患者には入院中のスケジュールを把握することができ、より安心して検査や治療を受けられていると言われています。
ではPOS とは、患者の問題が、患者のQOLを大切にしながら、効果的に解決されるように、いつも全人的立場から問題を取り上げ、考え、かつ行動する一連の記録である。
常に、全人的ケアをめざして、患者のために、患者の側にあって、患者とともに、知識と身についた技術をもって、命の主体である人間のケアを実践するシステムであり、哲学でもあると言われています。どちらも基本的には同じでありますが、互いに課題もあります。クリニカルパスは、すべての病気を対象とすれば困難な事もありますし、POS は記録に時間がかかるやアセスメントが難しい等です。これらを踏まえて、またPOSの本質である問題志向だけでなく、クリニカルパスの目標志向についても述べてみます。それが記録の標準化へと繋がると幸いです。