特別講演3
アウトカムマスターの構造及び
その維持管理・利用について
済生会熊本病院 TQM部、NTT 関東病院、
四国がんセンター、九州大学、
聖路加国際病院、大阪市立大学
副島 秀久(そえじま ひでひさ)、小西 敏郎、
河村 進、中島 直樹、嶋田 元、井内 郁代
【目的】アウトカム(以下OC)は「呼吸状態が安定している」という「呼吸状態」+「〜が安定している」という二つの語で構成されたフレーズである。臨床上重要なデータは酸素飽和度や呼吸回数などの個々のデータではなくアセスメント項目を含めた総合評価としての「呼吸状態が安定している」というデータが重要であり、バリアンスはこれが達成されない状況である。従来クリニカルパス(以下パス)で使われてきたOC 用語の表現を標準化し、かつ概念を整理して定義を明確にし言語データとして収集・分析が可能な形に構造化することを目的とした。
【方法】済生会熊本で開発されたパス作成ソフトであるPath Team LiteRのOC マスターをもとに、これから派生した九大、大阪市大のOC マスターをアウトカム部会で整理統合し、標準的OC マスターBasic OutcomeMaster(BOM)を作成した。
【結果】OC にはタスクと患者OCがある。今回、整理の対象としたOC はパスの作成・運用・分析で最も重要であり、またOC が「単語+述語」で構成された意味を持ったフレーズであり表現法が多彩であることから、まず患者アウトカムのみ整理した。患者OC は@患者状態A生活動作・日常動作・リハビリB知識・教育・理解の大分類に分け、これに分類されないものや将来加わる新語のためにCその他を設け4大分類とした。下位である中分類はマスターの構造上最も議論を要するが検索の容易さや電子化を考慮したうえで、「清潔・入浴」→「清潔」、「栄養」と「食事・水分・栄養」→「栄養・水分」、「自己管理(受信・連絡)」→「自己管理」など単純化した。その結果@患者状態は22中分類、A 17中分類、B 6中分類となった。さらにOC の表現ルールを次の様に定め整理した。原則的にMEDIS-DCの表現を優先的とする。望ましい患者状態として表現し、場所、時間、特定の治療名・薬剤名・物品を含めたOC は作成しない。OC は簡潔に表現し、かつ複数表現のOC は分離する。観察項目(アセスメント)内容やタスクに紐付くOC は作成しない。また同義で使用されている述語の統一、曖昧な表現で使用されている述語の定義付け、OCの構成ルールを作成した。
【課題】今後、OC マスターを学会共有のものとし、共同利用や維持管理のルールと体制作りを提案したい。