パネルディスカッション1
がん地域連携のネットワークとシステム作り
東京女子医科大学病院 地域連携室
四国がんセンター 統括診療部長
オーガナイザー/座長:下村 裕見子(しもむら ゆみこ)
座長:谷水 正人(たにみず まさと)
2006年6月、がん基本対策法の成立を得て、2007年「がん対策推進基本計画」が閣議決定された。その項目の中で5大がん(胃、大腸、肝、肺、乳)に関する、地域連携クリティカルパスを2012年4月までに、がん診療連携拠点病院において整備することが必須となった。また2010年4月診療報酬改定にて、「がん治療連携計画策定料」「がん治療連携指導料」いわゆる“がん地域連携クリニカルパス加算”が保険収載されたことにより、がん地域連携クリニカルパスは、今後益々普及していくことが予想される。がん地域連携クリニカルパスはあくまでツールであり、ネットワークがあってこそ有機的に機能する。高齢化社会にあって今後、がん罹患数は増加と併存症をもった患者の増加が懸念される。診断・治療から終末期医療まで患者家族が必要としている安全かつ質の高い医療を継ぎ目なく提供する体制を構築することが喫緊の課題である。地域医療連携によって、お互いの補完により医療の質の向上を図ることができる。高齢化社会を勘案すれば、療養生活を支える機能の充実も不可欠となる。
このセッションでは、溝尾 朗先生(東京都)には東京都統一パスの概要、病院連携室長としての活動、岡崎 正巳先生(東京都)には医師会の立場からがん地域連携パスの運用にかかわられて、吉田 文恵先生(福井県)には連携実務者の役割とがん地域連携パス事務局について、松本 陽子さま(愛媛県)には患者が求めるがん連携について、中川 彦人先生(富山県)には地域で終末期を支えるネットワークの作り方についてお話いただく。病院連携室長・医師会(かかりつけ医)・連携実務者・患者のそれぞれのお立場から、先駆的かつ実践的な取り組みを通して「がん地域連携のネットワークとシステム作り」のあり方を論じていただくことを目的とする。会場からの活発な議論を期待したい。