教育セミナー3 【ベーシックコース3】
クリニカルパスの上手な運用は記録が決め手!
武蔵野赤十字病院 看護部
村木 泰子(むらき やすこ)
日本にクリニカルパス(以下パスとする)が紹介されてから約15年がたった。日本のパスは、アメリカのカレン・ザンダーが開発した当初のパスから大きく変化し、現在では日本の医療に合わせた「日本版クリニカルパス」となった。
パスを導入すると看護記録の効率化が図られると言われている。しかし、クリニカルパスはあくまでも医療マネジメントのためのツールであり、工程表である限りが看護記録ではない。つまり、パスを導入すれば看護記録の効率化が進むわけではないのである。看護記録としてクリニカルパスを活用するためには、看護記録の要件を満たすパスを作成することが必要である。また、バリアンス分析を行うことにより医療および看護の標準化ができ、それは、看護記録の効率化をさらに図ることができる。今回は、看護記録の要件を満たすパスの作成方法を説明する。
また、チーム医療を行う上に情報共有をしていくことは必須である。特に、患者の個別性と言われるバリアンスはチームでアウトカム達成のためのマネジメントを検討するためには必要な情報である。このバリアンスをチームで共有するためにどのようなバリアンス記録を行えばよいのか。「記録する」ということを中心にフォーマットから検討していきたい。
そして、パスを看護記録用紙として運用する場合には、パス委員会と記録委員会の活動が連携していることが重要となる。必要であれば診療録に関する委員会との連携も重要となる。各委員会とどのように連携していくことがパス委員会活動の活性化やパス啓蒙、記録の質向上につながっていくのかということも合わせて考えていきたい。
パスを医療マネジメントツールとして活用するためにも「記録」との連携は重要であり、「記録」の質がパスの質ともなる。
院内でパスを運用・発展させていくためには、「記録の効率化」というパス導入のメリットを自信持って説明し、また、真に医療の質向上のためのマネジメントツールとしてのパスと成りうるためのバリアンス記録を残すためにも、基礎となるパスと看護記録の関係を理解してもらいたい。