教育セミナー4 【アドバンスコース1】
パスの見直しって必要なものなの!?
−患者・介入アウトカムの評価と改訂が質向上への近道−
トヨタ記念病院
形成外科・診療情報支援グループ
岡本 泰岳(おかもと やすたか)
クリニカルパス(以下、パス)の導入により、診療プロセスの標準化、業務改善、チーム医療、インフォームドコンセント、リスクマネジメント、コストマネジメントなどが推進されるといわれている。しかし、パスを作成し現場で使用したあと、何の見直しもされることなく漫然と使い続けるだけでは、これらの享受は限定的、場合によっては、かえって医療の質の低下を招く危険性すらはらんでいると考える。これは、作成したパスが最初から完璧に完成されたものであるはずがないことと、本来パス医療のあるべき姿がいわゆるPDCAサイクルを回し見直しされ続けることで、パスの内容そのものだけでなくそれに関わる「ヒト」も進化・成長していくからである。
パスは患者アウトカム(患者状態、到達すべき目標)と介入アウトカム(タスク、いわゆる医療行為・仕事)から構成されている。アウトカム志向のパスであれば(本来そうあるべきだが)、介入アウトカムの設定は、患者アウトカムの達成に必要なものであるという視点でなされるべきであり、患者アウトカムに基づかないものは無駄な(不必要な)介入アウトカムといえる。患者アウトカムの設定・見直し・検証、そしてそれにも基づく介入アウトカムの修正(追加・削除・変更)こそがパスの見直しといえる。このようなことは理屈では理解できても、実際には多くの施設でパスの見直しがうまくできずに日々悩んでいると思われる。
アドバンスコース1では、「パスの見直しって必要なものなの!?」をタイトルに、パスの見直しの必要性、方法論、実例を中心に以下のキーワードに沿って解説する。@質向上(臨床・財務・満足度アウトカム)、A質管理(質保証・継続的質改善・質測定)、B質改善手法(プロセスアプローチ・アウトカムアプローチ)、Cパス内のアウトカム(患者・介入アウトカム、中間・最終アウトカム)、Dクリニカルインディケーター×クリティカルインディケーター、EDPC、Fベンチマーキング。尚、パスの見直しに欠かせないバリアンス分析に関してはアドバンスコース2で詳しく解説されるので、是非合わせて聴講していただきたい。
本コースの内容が少しでも現場の悩みの解消になり、パスの見直しが進むことで、パス導入の成果が大きく花開くことを願ってやまない。