第61回日本泌尿器科学会西日本総会

 会 長 筧 善行
 第61回日本泌尿器科学会西日本総会を開催させていただきますにあたり、一言ご挨拶させていただきます。
 香川大学泌尿器科学教室としては、1988年以来21年ぶりの開催となります。前教授の竹中生昌先生が前回開催させて頂きましたときは、瀬戸大橋が完成まもなくのことで、四国にまさに新しい時代が到来した時でありました。とはいえ、当時は学会を開催するにも会場が整備されておらず、大変な御苦労をされたと伺っております。それから20年あまりが経過し、高松市は四国の玄関口として大きく成長を遂げました。特にここ10年足らずの間にJR高松駅周辺には、国際会議も開催可能な施設が次々と誕生し、学術会議以外にもピアノコンクールなどの国際的イベントも開催されるようになっております。今回の会場となりますサンポートホール高松や全日空クレメントホテルも2001年から2002年にかけて建築された21世紀の香川を象徴する建造物であります。会場からは、高松港周辺の船の往来や源平合戦で有名な屋島、さらには瀬戸内海の多島美がお楽しみ頂けると思います。
 今回の総会では、「地域との共生、未来への創造」というテーマを掲げさせて頂きました。「地域との共生」では、我々泌尿器科医が地域の医療にどのように貢献できるか、を改めて問い直したいという思いが込められております。超高齢者の比率増加が顕著な西日本地区では、泌尿器科医は排尿・排泄管理などでこれまで以上に他職種と協調して貢献していく必要があるように思います。移植医療においても地方のドナー不足は深刻です。また、大学やセンター病院と開業医の役割分担を一層進める必要性が、強く社会から要請されています。一方、「未来への創造」とさせて頂きましたのは、質の高い情報発信なくして地方の活性化はない、との観点からであります。地方に若い医師が定着するためには、都会に比べて少ない症例数で効率よく洗練された世界水準の医療技術を習得させる独自のシステムの構築が急務であります。ユニークな視点での創造的な活動のみが地方の活性化につながるものであり、我々泌尿器科医も積極的に参画して行かねばならないのではないでしょうか。本総会ではこのような現状と課題を認識しつつ、日頃、我々自身が疑問に思っていることにこだわったプログラム編成をさせていただきました。そのため、いささかバランスを欠いたものとなったことをご容赦頂かねばなりません。
 さて、日頃の成果を披瀝しあうこと、同じ専門分野の友と旧交をあたため合うことなど、学会に参加することの意義は論文を作成することとはひと味違った意義があると思います。日頃疑問に思っていることや行き詰まった問題が、学会に参加することで突然、道が開けることがあります。学会からの帰り道で、明日からの診療や研究の意欲がかき立てられるような学術大会となれば、主催させていただく我々の目的は達したと思います。そのような先生が一人でも多くおられるように、と願って開催の準備を進めておりますので、何卒ふるってのご参加をよろしくお願いいたします。