会長挨拶

第37回日本臨床薬理学会学術総会

 会長 長谷川純一

鳥取大学医学部 病態解析医学講座 薬物治療学分野 教授

ごあいさつ

 第37回日本臨床薬理学会学術総会を2016年12月1日(木)、2日(金)、3日(土)に鳥取県米子市で開催させていただくことになりました。毎年の日本臨床薬理学会学術総会には広い領域の医師、薬剤師、看護師、検査技師など多職種の2,000名を超える医療専門職の参加があり、数多くのシンポジウムや最新の研究成果の発表で意見や情報の交換をし、知識を新たにすると共に創造意欲をかき立てられています。
今回の学術総会のテーマは「薬物治療 イノベーション」としました。臨床薬理学は薬物治療を個別化、最適化していくための多方面の研究領域を包含しており、非臨床を含む医薬品開発の問題から、臨床試験、さらに適正使用に至る研究があります。そしてその間には臨床研究における倫理的問題、研究デザインや統計手法などの問題も近年特に脚光を浴びております。これらは全てがより良い薬物治療を志向したものです。イノベーションとは新製品を作り出すことばかりではありません。これまでの進歩を土台に全ての面での薬物治療の革新・創出を目指したものにしたいと思います。
この度の学術総会で皆様をお迎えする米子市は、かつて僧兵3,000人を擁したといわれる大山寺のある大山(だいせん)と、冬の味覚松葉ガニ(ズワイガニ)の水揚げ日本一を誇る境港の間に位置し、古事記では医薬の神とも称される大国主命の逸話が多く残っている土地です。因幡(鳥取県東部)の白うさぎを助けた話(獣医学)もありますが、当地では真っ赤に焼けた大岩に押しつぶされた大国主命が、キサガヒヒメとウムギヒメの薬で蘇ったという再生神話が有名です。薬物治療発祥の地といわれる当地において、最新の薬物治療の知見を皆様と共有したいと思います。
12月4日(日)には臨床薬理学講習会、市民公開講座も予定していますが、鬼太郎ロードやベタ踏み坂の先には朝鮮人参や牡丹の大根島、冬のイルミネーションがきれいな鳥取花回廊も見所です。米国雑誌の日本庭園ランキングで桂離宮を押さえて12年連続日本一の足立美術館もすぐ近くにあり、市内の皆生温泉は美肌の湯といわれています。学術総会後も心身共におくつろぎいただけるよう万全の体制で皆様をお迎えしたいと思います。たくさんの方々の参加をよろしくお願い致します。(2015年11月)