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SST普及協会
第25回学術集会in山口 
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SST普及協会 第25回学術集会in山口
ご挨拶
大会長挨拶
  SST普及協会 第25回学術集会in山口
大会長 中川 伸
山口大学大学院医学系研究科 高次脳機能病態学講座 教授
 この度、SST普及協会第25回学術集会 in 山口の大会長を務めさせていただくことになりました。よろしくお願い致します。
 この大会は当初2020年(令和2年)12月5日(土)・6日(日)の2日間、山口県宇部市にあります山口大学医学部にて開催する予定で準備を開始していました。しかし、新型コロナウィルス感染症(covid-19)が国内でも深刻化し、感染症対策などで参加者皆様も忙殺される状況であったため、理事会の承認も得て2021年(令和3年)12月4日(土)・5日(日)へと延期させていただきました。その当時は1年以上も過ぎれば、状況は好転し、通常の学術集会を開催できるのではないかと楽観的にも考えておりました。しかし、いまだ収束の兆しが見られない状況において、多くの医療者、教育・司法関係者、研究者など重要な責務を担っている方々が一堂に会すことは健康、安全面から危険が大きすぎると判断し、WEB開催(ライブ・オンデマンド配信)に形態を変更させていただきました。ご容赦ください。
 2021年(令和3年)12月4日(土)に大会長講演、特別講演、教育講演、シンポジウム、スポンサードセミナーをライブ配信に致します。また、12月14日(火)~2022年1月14日(金)にライブ配信の内容、さらに副会長講演、教育講演、自主企画、一般演題をオンデマンド配信し、本来の学術集会に近い内容で工夫を凝らして準備させていただきました。
 メインテーマは「原点回帰〜SSTのエッセンスを求めて〜」としています。SST普及協会のホームページの「SSTとは」に「SSTは希望志向であり、精神障害者を持つ人たちをはじめ、支援を必要とする方の希望に基づいた支援法である」「自己能力を高め(エンパワメント)、一人ひとりのリカバリーを目指すものである」とあります。また、「普及」とは現在までに得られた知識を正しく理解し、獲得し、新たな知見を創出する土台を作る、そして今までに触れていなかった人たちにも知ってもらい、広く活用していくという意味が含まれているかと思います。現在の精神科疾患への治療は改めて非薬物治療の重要性が認識されてきており、精神科領域が疾患閾値以下のメンタルヘルス領域を扱うようになってきているなどSSTを再認識していく時代ではないかと考えます。
 本来であれば山口県地場の食や観光、集まることによる個人的な情報交換や交流を楽しんでいただきたかったのですが、今回はかないません。一方、WEBによる時間の自由度は大きなメリットです。多くの方にご参加頂き、実りある集会になることを期待しています。
実行委員長挨拶
2021年SST学術集会に向けて
  中国支部支部長  学術集会実行委員長
的場 文子

 2020年開催予定だった学術集会は、Covid19の影響を受けて、2021年に延期され、残念ですが、今回オンライン開催となりました。皆が一堂に集まって情報の交換と親睦を深めることはできなくなりましたが、オンラインの良さとして、自分のいる場所で、余裕のある時間帯に視聴できるというメリットがあります。長く家を開けることが難しかった人たちにとっては、講演を聞ける良い機会となるのではないかと思っています。当日配信は、12月4日のみですが、その後、14日から1か月に渡ってオンデマンドで配信されます。オンデマンドでは、当日のものだけではなく、演題発表や医師層対策委員会の自主企画なども追加されますので、当日視聴される方も、お好きな時間帯にオンデマンドでも視聴してくださるようお願いいたします。
 普及協会が創立して約30年。その間に理論も、技術も対象も随分広がりを見せてきました。その広がりの中で、たまには、来し方を振り返り、その源に目を向けることで、新たに進むべき道が見えてくるのではないかと思って「原点回帰〜SSTのエッセンスを求めて」をテーマとしたのですが、折りしもコロナ禍は様々な事柄のあるべき姿を変えて来ています。その中でも「これだけは大事にしなくてはいけない」というもの(=エッセンス)が見えてくるかもしれません。
 今の若い人たちには信じられないかもしれませんが、協会の設立当初は、他の支援技術がなく、社会的入院や入退院を繰り返す人たちに医療者がなすべきことがほとんどありませんでした。その人たちのためにできることがあるということを教えてくれたのが、SSTでした。(少なくとも私にとってはそうでした。これが私の原点。)そして、普及協会と共に歩みながら、障害について学び、支援について学び、認知行動療法について学び、それらを支える仕組みについて学んできました。現在の医療で求められているSDM(Shared Decision Making)は、当事者の希望に基づくSSTにとっては最初から当然の事だったし、当事者目線でのリカバリーを支えることに努力してきました。この素晴らしい技術をできるだけ多くの人に広めたい、技術を高めてもらいたい、できるだけ有効なSSTができるような人たちを増やしていきたい・・・その想いで認定講師となり、活動を続けてきたわけで、それが私の活動の原点でした。この会を通してパーソナルリカバリー・地域支援のための大切なコア技術としてSSTを位置付けるために改めて、エッセンスを明らかにしていければ幸いだと考えます。
 日本の精神科医療の舵取りがそうであったように、またそれに寄与したいと思う人たちがたくさんいたおかげもあり、精神科領域は随分変化を遂げたきました。長期入院患者は少なくなり地域で支え、就労支援をし、リバーマン先生の示したリハビリテーションやリカバリーは、現実のものとなってきつつあります。これは素晴らしいことであり、成果です。そのためにSSTが果たしてきた役割は大きく、今後もますます必要になることでしょう。
 その原点に一旦回帰することで、eSSTのエッセンスがより明解になることを期待しています。丹羽会長は日本精神神経学会の教育講演でeSSTのエッセンスとして4つの事(希望志向、共同創造、認知機能への介入、症状の主観的意味を扱う)を挙げています。それが明快になる学術集会にしていければ、幸いに思います。
 またSSTには、障害者を支える地域や家族の支援に対しても寄与できる力を持っています。それと同時にSSTは精神障害者のリハビリ、リカバリーとは違う方向での発展をも見せてきました。教育(SSTは、行動療法の分野では以前から障害児教育などに活かされていた)、司法、また「誰でも参加できるSST」などを通して、一般社会にも広げることが可能となっています。幼い子・思春期の子を含めて子育て中の親たちへの支援、怒りのコントロール、ストレスマネジメントなどなど。社会における様々な問題解決の手段となれるような可能性を秘めていると思います。もっと言うならば、精神疾患の予防にも役立つのではないかとも考えているところです。
 
 今後私たちはどの方向に進もうとしているのだろうか?何を大切だと考えているのだろうか?個人個人で原点は違うでしょうが、一人一人は何を大事なエッセンスだと思ってSSTに携わっているのだろうか?それを考えてもらえたらありがたい。それはまた、今後の協会のあり方にも関係してくるに違いないと思っています。
 元々SSTは、単なる技法として行動療法の中で誕生しましたが、今や、精神障害者のパーソナルリカバリーのためのなくてはならない支援技術(ツール)となり、人との関わりを円滑にすることのできる、障害者に限らない、たとえば我々自身にとっても人生を豊かにする技術ともなっているように思います。
 プログラムについて、一言。リカバリーに焦点を置いた就労支援をターゲットにしたシンポジウムを計画しています。就労がうまく行くためには、医療機関・福祉施設だけがいくら頑張っても難しい。なかなか知る機会のない、自治体や雇用する側からの話を聞く機会を提供したいと思い、山口県の代表的な企業である宇部興産の特例子会社「リベルタス興産」とユニクロのブランドで世界的に有名な「ファーストリテーリング」の担当者に話していただく予定です。医療、行政、会社・・それぞれの視点から、意見を交換することで、それぞれに気づきがあれば良いと思っています。SSTの考え方や支援方法が、企業や地域に何らかの刺激になってくれれば良いとの願いを込めてもいます。
 また、SSTとは共通点も多いが、立場の異なる分野からの講演もいくつかお願いしています。私たちひとりひとりが、様々な考え方に触れ、自分なりのエッセンスを探し出してもらえるよう願っています。認知行動療法のエッセンスの一つは、「一つに決めずに色んな視点から物事をみることができるようになる、多様性を身につける」点にあると思っているですが、それらの実現の場になれば嬉しいです。最後に一般演題を7月から募集します。昨年発表できなかった分も含めて、ぜひご応募ください。お待ちしています。

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