日本糖尿病学会 中国四国地方会第53回総会
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会長挨拶
日本糖尿病学会中国四国地方会第53回総会
会長 谷口 晋一

鳥取大学医学部 地域医療学講座

中国四国地方会第53回総会の会長を務めます鳥取大学医学部地域医療学講座の谷口です。

今回は秀峰大山の紅葉も色づきつつある10月末に、鳥取県米子市で開催することになりました。鳥取県での開催はじつに13年ぶりであり、多くの皆さんが山陰の地に集まっていただけることを楽しみにしています。糖尿病という分野を概観しますと、糖尿病患者数は増え続けており、これに伴い糖尿病性腎症による透析患者も増加しています。また動脈硬化性疾患である心筋梗塞、脳血管障害もあいかわらず大きな位置を占めています。いっぽうで、糖尿病の薬物治療の発達はめざましく、DPPIV阻害薬、GLP1受容体作動薬などのインクレチン関連製剤、そして最近ではSGLT2阻害薬が次々と上梓され、臨床の場で利用できるようになっています。これに伴い多くの研究会で薬物治療のテーマが取り上げられていますが、糖尿病専門医であっても病態に即した薬物選択に迷うことが多いのが実状ではないでしょうか。糖尿病という病気は、発症メカニズム、インスリンシステムを中核とする病態、合併症、治療など、多岐にわたる研究と実践が必要な分野です。新しい薬物の発見は、病態の新たな局面をきりひらく誘い水ともなります。糖尿病のメカニズムの解明は着実に進歩しています。その一方で、糖尿病は患者の自己管理が治療に大きなかかわりをもちます。糖尿病治療の中核というべき生活指導については、糖尿病療養指導士などコメデイカルの系統的な育成をすすめることで、チーム医療のモデルケースとして注目されています。糖尿病療養指導士を中心としたコメデイカルの人たちは、糖尿病診療にとって大きな推進力になっています。さらに、糖尿病はプライマリケアの本質である、社会医学・心理学的アプローチを適用すべき典型的な疾患のひとつが糖尿病であると思います。この社会医学的、また心理学的なアプローチは、糖尿病学の中でもまだまだ発展途上の分野ではありますが、これだけ膨大な数の糖尿病患者と予備群を前にすると、個別症例の徹底的な分析とともに、このような新しい角度のアプローチも重要性を増しています。地域医療からみると糖尿病という分野は、課題解決のためのアプローチとして自己管理モデル、疾患管理モデル、多職種連携を育むチーム医療など地域医療のキーワードがたくさん入っています。このように糖尿病学は、医学のなかでも本当に広範でダイナミックな視点を要求される分野であり、だからこそ魅力的で面白いのだと思います。みなさんの日頃の診療・研究成果を持ち寄り、大いに議論していただきたいと思っています。晩秋の山陰は大山の紅葉など美しい自然に恵まれた季節でもあります。学会とともに、山陰の海の幸と美しい自然を楽しんでいただければ、うれしく思います。平成27年10月に米子の地でみなさんにお会いできるのを楽しみにしております。